「私の名前はドナルド・マーシャル。クローン人間だ…」。
ドナルド・マーシャルの証言はこう始まる。
2011年末、世界中の地下軍事基地で夜ごと行われているという、無実の市民に対する犯罪の目撃報告を、詳細に記した暴露記事をオンラインで発表した。
彼は元イルミナティ関係者で内部告発者なのだ。
陰謀論者は長い間、世界の主要な出来事はイルミナティと総称される富裕な秘密結社の強力な世界勢力の指示下にあることを主張してきた。
彼らは、この影の政府が長年にわたって世界の出来事を画策し、銀行、ビジネス、政治、軍事、教育、宗教、医療、メディア、エンターテインメントなど、社会のあらゆる分野を究極的に支配すること、そして隠された意図を推進してきたと主張しているのである。
ドナルド・マーシャルは、この選ばれた人々のグループについて命がけで発言し、大多数の国民が気づかないうちに世界は支配されている、と主張している。
彼によれば、この膨大なメンバーには、王家の血統、著名な資産家、金融、銀行、メディア、エンターテーメントの有力者、さらに宗教指導者や政治家が含まれ、全員が組織への加入に同意しているとのことである。
このエリートクラブのメンバーは、無限のチャンスを手に入れることができるが、それと引き換えに、人里知れぬ地下の軍事基地で毎晩行われる秘密の会議に参加することに同意しなければならない。
そこで彼らは極秘のクローン技術を使い、ひとが眠っている間に、夢の中でクローンとして会い、未来の出来事について話し合い、計画を立てるのだという。
こんなことあり得るだろうか?
マーシャルは、人間のクローンを作ることは決して新しいことではなく、遺伝子工学の秘密実験はイルミナティの科学者によって何十年も前から行われてきたと主張する。
1940年代から、世界の指導者たちが秘密裏に会合を開き、将来の出来事について計画し、議論するために、人間のクローン技術が使われるようになった、と彼は説明する。
しかし、時が経つにつれ、彼らは退屈になり、他の人のクローンを作り、クローンセンターに連れてくるようになったのだ。
有名な映画スター、芸術家、音楽家、有名なスポーツ選手などがクローンを作られ、イルミナティに届けられ、彼らのあらゆるファンタジーを満足させるようになった。
マーシャルによれば、やがて、メンバーが他のメンバーに見せびらかすようになると、これらが徐々に劣化し、殺人、誘拐、拷問、レイプ、児童虐待、児童搾取といった犯罪を含む、衝撃的な堕落行為を行うようになったという。
マーシャルは、幼少の頃から、多数の政府の秘密プロジェクトに不本意ながら参加し、イルミナティの多くのメンバーが犯した数々の犯罪を目撃してきたと主張している。
彼は、5歳の子供としてこれらの秘密会議に参加したことを覚えていると述べている。
しかし、マーシャルは毎晩クローンセンターで行われた出来事を詳細に語ることができるが、そこにどうやって行ったかは全く覚えておらず、当時は寝ている間に誘拐されたのだと信じていたという。
マーシャルは、R.E.M-Driven Consciousness Transfer(R.E.M駆動の意識伝達)と呼ばれる極秘技術について全く理解していなかったという。これは、自然なレム睡眠中に個人の意識を、数マイル離れたクローンセンターにある同一のクローンに転送するために使われる技術である。
マーシャルは、夜ベッドに入ると、眠っている間に自分の意識が盗まれ、本当の肉体が目覚めるまで人質として拘束されると説明する。この意識移動は毎晩のように起こるが、本体は部屋から出ることなく、ずっと眠り続けている。
しかし、本体が目覚めると、すぐに意識が戻り、かわりにクローン体はぐったりと眠るという。
マーシャルによれば、この転送は、脳がレム睡眠サイクルに完全に入った時にのみ行われるとのことである。
いったん夢を見始めると、意識を盗まれて好きなところに連れていかれるのだという。
マーシャルはこう報告している。
“私は夜、(カナダ東部の自宅で)眠りにつき、1時間後に目を開けると、何百マイルも離れたクローンセンターで、ステンレスのラックに裸で乗っている自分を発見する。“
正確な場所はわからないというが、マーシャルは、そのセンターがカナダ西部の非常に制限された土地の地下に建設されていると推測している。
マーシャルが言うには、最初は混乱していたが、気がつくとコンピューターでいっぱいの部屋に横たわり、近くのコンピューターが彼の脳波のパターンをモニターしていたそうだ。
説明によると、レム睡眠に入るとコントロールパネルの緑色のランプが点灯する。そして、「このひとはボタンを押すだけで、クローンゾーンで、目を開ける」 のだそうだ。
このようにして、大勢のイルミナティ・メンバーが、発見される可能性のない場所で、秘密裏に毎晩集まっているのである。
マーシャルはこう主張する。
何千人ものイルミナティ・メンバーが、24時間、世界中の異なる時間帯の地下軍事基地で活動していることを考えると、その組織のレベルの高さには驚かされる、と。
マーシャルは、どうしてこのような政府の極秘プログラムに参加することになったのか、特にその若さゆえか、よく質問される。
マーシャルによれば、彼の子供時代は「ごく普通」であり、カナダの大西洋岸の港町、ノバスコシア州ハリファックスで母親、義父、3人の兄弟と一緒に暮らしていたという。
聡明でスポーツ万能、人気者のマーシャルは、学校ではスポーツと勉強の両方で優秀な成績だった。卒業後は、建築関係の仕事に就き、成功を収めた。
30歳の誕生日を迎えるまでは、「いい人生だった」とマーシャルは言う。
当時はダートマスに住んでいて、ハリファックス市から湾を隔てたところにあった。
ある夜、目を開けると、ルームメイトが自分の前に立っていた。
「一緒に行こう」 とルームメイトが言った。
起き上がろうとすると、自分がベッドで寝ているのではなく、狭い簡易ベッドの上で休んでいることに気がついた。
周りを見回すと、そこは寝室ではなく、コンクリートの厚い壁とベッド以外何もない、狭くて暗い部屋の中だった。
「どうしたんだ」マーシャルはそう言った。
「ただついてくるんだ」とルームメイトは促した。
マーシャルは黙って彼について行き、部屋を出て、広いコンコースに面した廊下を進んだ。周りを見回すと、マーシャルは自分が大きな屋内スポーツ競技場の中にいることに気がついた。
「誘拐されたのだと思った」とマーシャルは言う。
正門に近づくと、ルームメイトが脇に寄り、マーシャルは一人で明るいアリーナの中に入っていった。
周りを見渡すと、人だかりができている。暗闇の中で座っている人たちの顔をすばやく見ると、みんな見ている、みんな待っている…。
大音量の音楽がスピーカーから流れ、マーシャルはアリーナの中心に向かって歩き始めた。ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)の1987年のヘビーメタルの名曲 「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」が、スタジアムのサウンドシステムから流れてきた。
まるで、自分を殺そうとする血のエンターテイメントを見に来たかのような、集まった人々の静かな脅威を感じながら、マーシャルは思った。
私が泣きながら命乞いすると思っているのだろう…と思った。
マーシャルは、どうせ生きて帰れないのなら、奴らが取りに来たものをくれてやればいいと考えた。
ロックスターの動きを見せながら、マーシャルはエアギターの弦を切り裂きながら、ジャンプ、スラスター、グラインド、ヘッドバンギングを始めた。ジャングルへようこそ…楽しいゲームもあるよ…欲しいものは何でもあるよ…ハニー、名前はわかってるよ…」。
しかし、彼が歌い始めると同時に、音楽は突然止まってしまった。
「覚えているか」 と誰かが言った。
「私は何も覚えていない。ここはどこなんだ?」
「何も覚えていないか?」
「なにも」マーシャルは答えた。
「なぜここにいるのかわからない。誰かと勘違いしているのでは?」
「私を殺すならさっさと殺せ。アンタの顔を見たがどうせここから出られないんだ」とマーシャルは続けた。
“お前は死なない”彼らは答えた “目が覚めたらベッドに戻ってるんだ“
「それなら、死なないのなら・・・今すぐにでもここから出せ」と彼は言った。
次に”お前は特別だ”と言われ、すべてが真っ暗になった。
目を開けると、マーシャルはベッドに戻っており、心臓がドキドキし、頭が興奮していた。
あれは何だったのだろう。夢を見ていたのだろうか。夢というにはあまりにも現実的な気がしたが、夢でないとしたら…何なのだろう?
マーシャルがわからなかったのは、クローンセンターにいる間、自分は本当の体ではなく、自分と同じクローン体を活性化していたことだ。
彼は、自分が誘拐されたわけでも、拉致されたわけでもなく、本当の自分の体は、自宅のベッドで眠ったままだった。そして、その間に、現実と同じように感じられる同一のクローンボディを一時的に使用していたことを、彼は後に知った。
しかも、クローンセンターで出会った人たちも、本当の体ではなかった。彼らは、同じようにクローンを活性化させ、実際に世界中に住んでいるのだ。
最初は誰にも話さなかったが、やがてマーシャルは自分の「夢」を数人の友人に打ち明けることにした。どうなることかと思いつつも、みんな信じてくれた。マーシャルはウソをつかない人間だからだ。彼の身に何かが起こっているのは明らかだったが、誰もその正体を知らない。
それから数週間後、マーシャルはさらに記憶を取り戻し始めたという。幼い頃から何度も行ったことのある場所であることが分かってきた。しかし、「あそこ」がどこかは分からないが、自分は別の次元の時間、あるいは別の現実に連れてこられたのではないかと思い始めた。
ハリファックスに戻り、友人の家に滞在することにした。しかし、そのころには、自分に起きていることが次に彼ら自身にも起きるのではないかと、友人たちが距離を置き始めていた。
「これは夢じゃない。夢じゃないとわかったんだ。夢というにはあまりにもリアルだった。でも、気が変になったから、現実のように見えただけなのかもしれない、とも思った。気が狂いそうだったんだ」
そして、マーシャルは生まれて初めて、なぜ自分が夢を覚えていないのか…それは、自分が夢を見たことがないからだ、と気づいたのだ。
さらに記憶が戻ると、夜中に焼けつくような胸の痛みで目が覚め、心臓が痙攣して、そこで起こった出来事のトラウマを体が再体験するようになった。いつも同じ場所で、同じように大きなスポーツアリーナで、さまざまな人がさまざまな方法で自分を傷つけるのを、大勢の人が見ていた、と彼は回想する。
心臓がドキドキし、体が震え、新しい記憶が浮かんできて、息ができなくなるような痛みで目が覚めたという。彼は、いつか心臓が悪くなり、助からないのではないかと心配した。この場所を閉鎖するために、何かしなければならないと思った。それが何であれ、どこであれ、これを止めなければならないと思ったのだ。
マーシャルはまず警察から始めることにした。ある朝、ハリファックスのダウンタウンにある警察本部に、報告をするために出向いた。
彼は、自分が夜眠ると異次元の世界に飛び込んでくること、そこにもたくさんの人がいて、他の人にひどいことをしていること、それに対して何かしなければならないことを警官に説明しようとした。マーシャルは、警察は家に帰るように言っただけで、ERに行って医者に診てもらった方がいいと言ったという。
そこでマーシャルは、カナダ情報局に連絡し、ダウンタウンにあるCSISの地域本部を訪ねた。
マーシャルは、担当の二人の警官に近づき、夜寝るとき、なぜか別の次元かどこかに連れて行かれ、そこの人々が自分を傷つけたり、人を傷つけたりするので、これを調査して止めなければならないと、再度うったえたと言う。
「異次元を取り締まれというのか……」と警官は答えた。
すると、近くのオフィスから2人の心理学者(いずれも女性)が出てきたのだ。
彼らは自己紹介をし、彼と話したいと言った。
最初、彼らはマーシャルのために心配を表明し、彼の夢について多くの質問をし始めた。夢について、どう考えているのか、どう感じているのか。
次に、彼らはこれらの夢の分析をし、更なる検査をするために、すぐに精神科病棟に入るようマーシャルに勧めた。
しかし、マーシャルはその場を立ち去り、頭がおかしくなりそうな気分だった。
なぜか、彼らは私が来ることを知っていたのだ。彼らは私を精神科の病棟に閉じ込め、後で処分するつもりなのだろう。
一体自分はいまどこに行くのだろう、と思った。
その夜、マーシャルが眠りについて目を開けると、同じアリーナに戻ってきていて、土のピットの真ん中に立っていた。
二人の男が近づいてきて、代わる代わる彼にパンチを繰り出し、笑いながら見ている人たちに見せつけていた。マーシャルは、彼らがその日の初めに会ったCSISの二人の警官にそっくりだと思った。
マーシャルによると、彼は体を思うように動かすことも反撃することも、彼らの打撃を防ぐこともできなかったという。彼らはマーシャルを殴り続け、蹴り続け、マーシャルは血まみれになって土の中に倒れ込んだ。
“もう連絡してくるな”と警告された。
「ああ、みんなにこの場所を教えてあげるさ」とマーシャルは答えた。
その時、辺りは真っ暗になり、目を覚ますとマーシャルはベッドに戻っていた。
ここで何が起こっているのだろう? 警察がそこにいたのに、一体どうしてこのことを警察に報告できたんだろう?
あのひとたちは警察だったよな?